はてなダイアリー平民新聞

創業2002年か2003年、平民金子の元祖はてなダイアリー日記です。

四畳半の青春

何年か前に、平民新聞を書籍にしてみないか、という話があって、高円寺の喫茶店で打ち合わせをする事になった。最初にことわっておくと、結局この話は諸々の事情で立ち消えになってしまったんだけど、それでもやって来た若い編集者は、学生の頃からこの日記を読んでくれていたという事で、その言葉に時間の流れを感じたというか、とにかく、とてもうれしかったのをおぼえている。コーヒーを間に挟んで彼女は、自分の考えてきた企画案みたいなものを僕に見せてくれた。その1ページ目には「平民新聞 四畳半の青春」と書かれていたのだ。自分はもっと枯れている。おいおい、やめてくれよ。三十すぎて青春はないだろう。そう感じたのだった。そして今日。2001年からずっと暮らしていた四畳半のアパートを引き払った。最後の何日間かは荷物整理にかかりきりだったのだけど、出てくるわ出てくるわ、自分が書きなぐった詩や、文章や、写真が。ずっとこのボロ部屋と共にいたのだと思った。そして僕はこのアパートに守られていた。ロクな事がなかった気がする。何でもネズミにかじられるし、入居して早々に扉を破壊され空き巣に入られるし、仕事は見つからないし、部屋が便所の前だから他人の大小便の音を聞きながら眠る事になるし、人の成功に嫉妬したり、自分のふがいなさに苛立ったり、金はないし、いつも追い詰められている気がするし、日々、魂が削られて薄っぺらくなっていくような焦燥感、何よりも孤独で、孤独で、孤独で、それでも朝になるとチンチン電車の踏切りの音が聞こえてきて、そんな時僕はすっかり酩酊していて、毛布にくるまって、カラスが鳴き、朝の日差しがやわらかく部屋に入ってきて、そんな中で、僕はこの日記を書き続けて来た。それは、青春としか言い様のない時間だったのかもしれない。ありがとう、僕の小さくてきたない四畳半。くそったれ。燃えてしまえよ、馬鹿。
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