ここ数年で駅前とかよくわからんマンションの前とか、ほんとあちこちに電動キックボードのポートが出来たじゃないですか。乗ってる人も格段に増えた。
私はあれ(SNSでよく叩かれてる)「危ないなあ」的な目線ではそれほど敵視してないんだけど、乗ってる人を見て「もったいないなあ」とは思っている。
日々の生活の中で「歩く」ってのはやばいくらい大切で、それはなにも「気合いを入れてウォーキングしなさい!」とかの大げさな話じゃないんですよ。家から駅まで、スーパーまで、駅から会社まで、待ち合わせでAビルからBビルまでとか、なんかそういう「しょうもない用件」みたいなのが日常にはあふれていて、そういうしょうもない用件においてなるべく自分の足で歩くこと、それが大切なわけです。電動キックボード文化っていうのは「しょうもない用件で体を動かす権利」をテクノロジーに差し出してしまっているのがやばい。
あれって料金体系を見てても、基本的には日常での短時間利用が主目的なわけで、私が「こういう時に歩いたほうがいいですよ」と考えているポイントと電動キックボード会社が「こういう時に利用したら便利ですよ」と商売してるポイントってのが完全にバッティングしてしまっている。こっちは商売じゃないからあれだけど。
別に普段から運動習慣のある、高い意識を持った人が利用するのはいいんです。
便利ですよね、で終了である。
でも私が「もったいない」とか「やばい」とか言って想定しているのは、大谷翔平選手とか井上尚弥選手のような超一流のアスリートとか定期的にしっかり運動をしているきちんとした人たちではなくて、私と同じようにごく平凡な、ジムもすぐにやめてしまうし継続的な運動習慣も持たない人間のことです。
そんな私たちにとっては「しょうもない用件での徒歩移動」というのがいわば最後に残された身体活動チャンスなわけで、それを惜しげもなく手放して「ラクやなー」などと便利快適な小道具に乗っかっていたら老いた先の自分に会わす顔がない。藤子Fさんのノスタル爺風に言うならよぼよぼになった未来の自分が電動キックボードで町を疾走する自分に「そこは歩けー!!!」て泣きながら叫んでますよ。
私は2023年の12月から突然生活を変えて1日1万歩くらいは歩かないとな、という生活をしています。たかだか2年程度です。あくまでもそういう数値目標てだけなので毎日こなせているわけでもありません。でも歩く=体を適度に動かす、ていうのはてきめんに身体に変化をもたらす。というのが実感としてわかるわけ。
でも1日1万歩前後の歩行って、よほど営業職とか歩く必要がある仕事をしている方でもないかぎりなかなか毎日到達できる数字ではない。
1万歩あるこうと思ったらだいたい80分くらいかかります。
でもそれは困難な数字であると同時に、簡単に継続できる数字でもあるのだ。
どういうことかというと多くの人は1日1万歩という数字を前にすると「さあ、ウォーキングに出るか」と意気込んで朝とか夕方の貴重な時間に80分も費やしてようやく達成したはいいけど「ひま人じゃあるまいしこんなこと毎日できるかい!」と挫折するわけだけど(あるいはウォーキングはひま人がやるものとしてより短時間で効果が出るっぽいランニングに手を出して怪我をするわけだけど)それはやりかたとして間違っている。
1日1万歩を持続可能な数字とするための唯一の方法は、発想の転換をすることです。
つまり1万歩を一度に歩ききる数値としてとらえるのではなくて、歩数をこまかく分解するんですね。一度に歩く数値(10000×1)としてではなく、朝起きて夜寝るまでの長い時間の中での700歩×14回みたいな数値としてとらえ直すわけです。
なんかおおげさに、発想の転換、とか書いてしまうとさも私がオリジナルの考えでも書いているかのようになってしまうけど、そういうわけではなく、これって要は日常の中で非運動性の身体活動を意識していくみたいな単純な話でしかないので厚労省のホームページにも書かれてある感じのごくごく普通の考えかたです。
人間って、ついつい自転車とかに乗ってしまうんだよなあ。ついついエスカレーターに乗ってしまう。ついつい自動化されたものに引き寄せられる生き物です。その「ついつい」ていうのはその場の快適さだけで言えば薬なんだけど身体の筋力維持とかの意味ではあきらかに毒なわけで、どうせこのさき電動キックボード的な意味では「便利」な方向にしか進まないであろう世の中において「ついつい」の便利さをあえて避けていく、そんな倒錯的な態度はきっと重要です。
まあ何をやったところでどこまで、どのように人生が続くのかなんてしょせん運次第、みたいなところはある。でも人生においてたしかにコントロールできる部分が3パーセントくらいはあって、そこには手をふれていたい、みたいなかんじか。ちがうか。よくわからんな。中年以降は人生のほつれが見えてくるんよな。この服、ここを手入れしておけば長く着れるかも、みたいな。あちこちほつれてきてあきらめるかもしれませんしムキーてなって途中で捨てたりとかそういうのもあるかもしれませんが。可能なかぎりは大切に着ていたいものです。