はてなダイアリー平民新聞

創業2002年か2003年、平民金子の元祖はてなダイアリー日記です。

33人の新刊本殺戮系立読人

どこまでもぼかして書いた方がいいからぼかして書くが、欲しい本があったので本屋に行ったら目当ての本があった。あったのはいいが、いかせん古いやつなので在庫が一冊しかない。まあなんにせよあったのならそれでよし、と思って手にとって、状態を簡単にチェックしたらこれがなかなか……きびしかった。数箇所にページ(細かい)折れ目、ただまあこの折れ目は修復できるだろう、気にしないこともできる、しかし、最初のページをめくったところがもう、弾力?みたいなのがなくてそのままパカっと開いて本を綴じている糸みたいなやつが見えている状態。これはきびしい。

こういう傷み本ってやつはごくたまに新刊書店で見かける。で、私は基本的にはそういうものであっても1冊しかなければかなり大目にあれする感じなので、基本的には新刊書店にあるその本が傷み状態であっても、買ったりする。しかし先日みたあの本はなんか買ったらテンションが落ちる感じのものであった。悪いのは本屋ではない。もう100パーセント悪いのは、本屋で「まだ買ってもいない本を雑に立ち読みする極悪犯罪者(狂人)」である。おるやろこういうやつ。ほんま、雑に立ち読みするやつ。そういうやつは絶対に本を買わない。ただ雑に読んでページを傷める。平積み雑誌や平積み本の上に荷物を置く狂人もいる。なんやねんあいつら。

いや、それで、その本はもう10年くらい前に出たやつで、そこまで珍しいものではないのだが、まあこれから他の本屋で探そうと思ったら長い旅に出る必要がある、その程度には手に入らない感じのもので、そういう時にあっさりとあるんよな……amazonに。当日配送て。いや、ここから先は書かんほうがいい。私は本を本屋で買う、という意味においては狂的な何かがあるので平均的日本人というか平均的人間よりは「本は本屋で」という考えを実践している。でもあれか、話がちらばるけど、例えば煙草を吸える喫茶店ってのが激減したら少数残っている煙草が吸える喫茶店に喫煙者が集中して、今まで常連で心地よくくつろいでいたその喫煙可喫茶店に今まで見たことなかった周辺喫煙者が集中してしまい店全体が耐え難いレベルの煙たさになってしまう、みたいな状況ってあるじゃないですか。

そういうのと同じ(違うか)で、本屋ってただでさえ減りまくってるから、今あるでっかい本屋とかにはこう、平積み雑誌の上に本を置く害生物みたいな生き物が集中してやってきてしまう、みたいなのはあるんだろうか。あいつらなんなん、ほんま、なんで雑誌の立ち読みでページをめくるたびに爪の跡をつけるん?みたいな狂気の新刊本殺戮者たちよ。独立系書店みたいな小さい本屋はそのあたり、強そうですな。そういう野蛮生物が(そりゃたまに、ノイズのように混ざってくるのだろうとは思うけど)でっかい本屋ほどには来ないっていうか、そこは「おまえら、くんな」みたいな(良い意味での)敷居の高さはあるんじゃないか。だから新刊本が一定の(内容的な意味ではなくてあくまでも紙状態的な意味での)品質を保てるっていうか。

ここはお前らの私設図書館ちゃうぞ、みたいな感じで立ち読みしてるやつほんまおるよな。人文系の高い本のところにもおるな。あたりまえだが、「立ち読み」自体に何も言わないし、立ち読みっていうのは本屋っていうでかい文化?みたいなものを支える、ゆうたら本屋を支える要素のひとつでさえあって、ただ、そういう立ち読みが「要素」になりえる条件としては、立ち読み者ひとりひとりの「くそ丁寧に読む」という矜持だろう。そういうのを持たない人間は昔からそれなりの数いて、ただ昔は100人いた新刊本殺戮系立読人が200軒の本屋に散らばっていたため、2軒に1人しかいなかったのだが今は100人の新刊本殺戮系立読人が3軒しかない本屋に集中し、1軒の本屋が33人の新刊本殺戮系立読人を受け入れなあかん計算となっている。