少し薄暗い曇天が、朝から夕方近くまで同じようなテンションで続いている。世の中にはこれしか天気の種類がないのだ、と言うように。天気予報では夜から雨になっていて、私は朝の空を見てもっと早くから雨が降るだろうと思っていたから、子供に「今日は学校が終わった時には雨が降ってると思う。もし雨が降ってたら、帰り道でおとなしく自転車の後ろに乗ってたらマリオのゲームをやっていいよ」と約束していた。その帰り道。雨は降っていなかったけれど、子供は約束をおぼえていて(雨が降ったら、という条件は忘れていて、マリオをやっていいよ、の部分だけおぼえていて)、マリオやっていいって言ってたよね、と言われた。まあエエかと思って、そうやな、約束してたな、と言って子供を後ろにのせ、スーパーマリオランを起動する。私が平民金子を名乗り出したのは26歳の時、さるさる日記の時代からだと思う。いや、27歳(2003年)だろうか。東京の部屋では少なくとも数年間はパソコンがなかった気がする。2002年か2003年かはっきりしない。いや、2003年の気がしてきた。さるさる日記を半年くらい続けたところで日記に広告が付きはじめて、その表示が目立ってうっとおしかったので当時出来たばかりのはてなダイアリーに移った。さるさる日記の前は、大塚にあった音楽スタジオの掲示板に出入りしていた。当時はまだ掲示板文化が色濃く残っていたのではないか。その前は、出会い系サイトに登録して人と会うのにハマっていた時代があった。文通サイトみたいなやつだったかなあ。会社の名前が思い出せない。プロフィールを書くと連絡が来て、やりとりの後、知らない者同士が会ったりするのだ。と書いて、今で言うオフ会みたいなものかとも思った。会った、と言っても5人くらいじゃないか。一人とは池袋のサンシャインシティで会ったのを記憶しているから(ラブホテルの清掃バイトをしている、と言っていた)その頃が東京時代なのは間違いない。会って何をするわけでもない。ただコーヒーを飲みながら、なんかしゃべっているのだ。何人かとは手紙を出し合ったりして、わたしは、自分で編集したカセットテープ(カセットテープを編集、て言葉がなつかしくないか)を送ったりした。出会い系サイトで知り合った男から僕の好きなアイルランド民謡みたいなカセットテープが送られて来たら相手はこわいんじゃないか。海に、大きなアカクラゲ(だと思う)が浮かんでいた。「大変!大きいクラゲがおる」と言って自転車をとめたけれどその時スマホの画面を見たらちょうどクッパと戦っているところで、子供もクラゲを見たらいいのかクッパと戦ったらいいのかわからないあわてている感じで、よし、とりあえずクッパ倒しとこ、と指示したらとりあえずクッパを倒しにかかっていた。倒したあと、ほら、あっち、と言って指さした方向にはもうクラゲはいなかった。「クラゲおるで」と言った時のなんか、盛り上がらない感じがいいなと思う。サメおるで、とかウミガメおるで、とかだったらもっと盛り上がるのに。クラゲおるで、と言われても、言った方もそうなんだけど、別に盛り上がるわけではない。だから「クラゲおらんようになったなあ」と言っても、わたしたちに残念な感じはあまりなかった。公園を通ると、小学生の男の子たちが地面に野球のバットを立てて、そこにおでこをつけて身を屈めながらグルグルと回る、という遊びをやっていた。思わず、なつかしい、というような気になったけれど、なんとなくそう思ったというだけで、わたしはこの遊びをした事がない。Sさんにソール・ライターの写真集をかりる。子供がトイレの中でずっと「アンチボールド、チーズちょうだい、アンチボールド、チーズちょうだい」と言っていて、アニメかなんかかな。朝、ひとけのないメリケンパークでぽつんと立っているナディストさんに会った。おもしろかった。そんな偶然が。