最近、チキンラーメンに卵を入れる意味……チキンラーメンにおける卵の存在意義みたいなものがわからなくなってきて、いったんわからないとなると卵を入れる事が馬鹿らしくなってきて、それからは卵は入れていない。今日は、先日ブリのあら煮を作った際のゴボウと、山椒の醤油煮をちらして、それで食べた。昨日は夜の井の頭公園で缶チューハイを飲んだ。僕の横のベンチにいた二人、女の子のほうには彼氏がいて、男の子のほうはそんな彼女の事が好きになってしまったようだった。今つき合っている彼氏との別れを考えている女の子と、そんな彼女に好意を寄せているものの好きだとはハッキリ言えない男の子が夜の公園のベンチで静かに語り合っている。わりと初期のほうで興味を失ったので、僕は耳せんをつけてカルドセプト3DSをやっていた。
ゲームが終わった頃にはいつの間にか二人はいなくなっていて、僕は蚊にさされた足を掻いたあと、しばらく歩きながら、久しぶりに飲む缶チューハイは甘ったるい、という事と、なぜ自分は他の誰でもなく自分でしかないのかという事について、考えた。他の誰でもなく自分でしかない男と他の誰でもなく自分でしかない女が夜の公園でしゃべったりする。その横で、他の誰でもなく自分でしかない男が酒を飲みながらゲームをする。やがて、他の誰でもなく自分でしかない女は他の誰でもなく自分でしかない男に駅で手をふり、それほど好きでもなくなった他の誰でもなく自分でしかない男の待つ部屋へと帰って行って、さっきまで他の誰でもなく自分でしかない女といっしょにいた他の誰でもなく自分でしかない男は、一人になるのだ。
