好きな女とも別れ、まあ一人でいるのもいいもんだ、と今月23日の誕生日に浴槽につかっていると、突然ガタガタと天井の窓があき、十代のころ自分のまわりにいた友人たちが空から降ってきて、みんなで記念写真を撮る。「あいかわらず暗いな」「誕生日おめでとう」予想もしなかった出来事に自分はヒーヒーと涙があふれ、34歳にもなって人目も気にせず号泣してしまった。…と、まあ、恥ずかしながら今朝、そんな夢を見てしまったのだけど、目が覚めて「あ、夢だったのか…」と頭で理解できた後もまだ、涙が止まらない。それは不思議な感覚だった。
それは不思議な感覚だった。夢とはいえ自分が人前で涙なんて流すとは。それもうれし涙だぜ、というかんじ。でも、悪くはないな、と思った。もうあの頃の友人たちが、自分のまわりに集まることは二度とない。でも、それでもぼくは、過去も現在もしつこく肯定し、信じていくこと。小さな希望を持つこと。希望を持ち続けることに対する執念を失わないこと。花のにおいをかいだり壁に照射された昼の日差しに目をとめたりしながら。希望を持ち続けることに対する執念を失わないこと。夢とはいえみんなに会えてとてもうれしかった。


