はてなダイアリー平民新聞

創業2002年か2003年、平民金子の元祖はてなダイアリー日記です。

ボブディラン全曲解説その1:天国の扉


ボブ・ディランに有名な『天国の扉』ていう曲があるんだけど、これは元々男女のまぐわいに関する歌で、サビで繰り返される「ノックノックノキノンヘブンズドー」の特に「ノックノック」の部分というのが他ならぬ、セックスにおけるピストン運動のリズムから着想が得られたというのは菅野ヘッケルもどこかで書いている通り有名な話だ。


ある晩ジョーン・バエズから「あたしね、今までたくさんの男の人とベッドを共にしてきたけど、でもセックスで気持ちいいと思ったこと一度もないの…」と告白されたディランは青年らしい勇猛さで「それなら俺が!」と挿入を繰り返し腰を「ノックノック!」振り続け、「ああバエやん、おまえのオマンマン、ごっつ気持ちエエでなあ、ワシはいまこうやって腰を振りながら、まるで天国の扉を叩いてるみたいな気分やでえ…バエやんもワシといっしょに天国に行ってくれるとウレシイんやけど…」と意気込んでみせるのだが、世の中というのはなかなか上手くはいかないもので、ディランはいつだって早漏だ。


結局のところ彼がこの歌で描き繰り返し歌うのは「ノック(1)ノック(2)ノッキン(3)オン(半)→天国の扉(昇天)」すなわち、三こすり半で射精に至ってしまう自身に対する哀歌(エレジー)である。


このあたり、同じように男女のまぐわいを描いたノックの歌でも「ぶるぶるブンブン ぶるぶるブンブン 冒険旅行(性交渉) ぶるぶるブンブン ぶるぶるブンブン とんでけー(射精)」……そしてその結果として……「ポンポコポンポコ ポンポコポン ポンポコポンポコ ポンポコポン たこやきポンポコふくらんで〜」などという、倫理的に微妙な歌詞を陽気なメロディにのせ自身のセックスにおける絶倫ぶりを『ガンバレ!たこやきちゃん』において誇示した横山ノックとはまるで大違いである。


ディランは避妊のためというよりは射精を少しでも遅らせるための感覚鈍磨の器具として当時としても非常に厚手のコンドームを用いジョーン・バエズの「オマンマン」をノックした。一方横山ノックは避妊などおかまいなしの暴れダコである。「天国の扉」とはそのように、性癖もチンコのデカさも違う二人の男たちが選挙カーに乗って海を目指す物語だ。


ちなみに現在日本で公開されている映画「ヘブンズ・ドア」では歌では描かれなかった場面も踏み込んで描かれ、ボブ・ディランと上岡龍太郎の一人二役を福田麻由子が、横山ノック役を長瀬智也(巨根つながり)がそれぞれ熱演している。アンジェラアキが歌う、どこをどう逆立ちして聴けばこのような日本語歌詞になるのかわからない(しかし本編を見ればこの歌詞の謎が解き明かされるだろう)『天国の扉』カバーも必聴だ。


旅の途中で運良く府知事になった長瀬智也(ノック)であるが、持ち前の巨根と自身の好色をコントロールできずについウグイス嬢にセクハラし告発され収監されてしまう。そんな、地位も名誉も失った長瀬(ノック)に対し、福田麻由子(上岡)は上岡龍太郎としてではなくかつて辛酸と栄光の時代を共に生き抜いたホットブラザーズの一人、横山パンチとして呼びかける「きみが笑う時は ぼくが隣にいる きみが死ぬときは ぼくがここにいる」そして長瀬の出所を待ち二人は再び選挙カーを駆り立て「海と青空が 背中合わせる場所」すなわち劇中で大阪府庁のあるWTC(大阪ワールドトレードセンター)へと向かうのだ。


失脚した元知事はヒットマンとなり、現大阪府知事橋下徹に狙いを定める。この場面でかぶさるアンジェラの歌声が映画のクライマックスとして非常に効果的だ。「ノッノッノキノンヘブンズドー ナッナッ涙をふいて 運命の(知事室の)ドアを ためらわずノックしようよノックさん」そう、ためらわずに、長瀬は引き金をひくだろう。「終わりは恐くない」ぼくたち終わってしまった人間に、こわいものなんて何もない。元知事(長瀬)は言うだろう「このままではワシは成仏できへんのじゃ」アンジェラの歌声がかぶさる「橋下をぶっころせ!引き金をノックノック!」奥崎謙三役の福田麻由子が叫ぶ「ノック!橋下徹を、撃て!」パンパカパーン(大団円)。全員死んで終わり。


(第二回に続く)