なんか最近ぜんぜん夢を見なくなったなあ、と思っていたのだケド、つい先日ひさしぶりの快眠、そこで見た夢は、友人からファッションヘルスの回数券のようなものを頂き「おいおまえ、新春サービス、すごいで!いってみ!」というようなことを言われ、ノコノコと出かけていく、というものだった。2009年最初にみた夢は、ファッションヘルスである。でも結局待合室に通されたワイは、店員さんから「しばらくお待ちくださいませ」と言われてホントにしばらく待っているんだケド、いっこうに誰も来ない。そうこうしているうちに年だけとって、白髪になったワイの前にようやくやって来たのは、女性ではなくカップ麺である。ワイはドンベエをすすりながら、昔祖母がよく語っていた「機関車アパート」について考えていた。夜になると地面に埋まっていた車輪がズズズっと出てきてそのまま建物を持ち上げ、アパートごと夜の町を走り出し、ねむる子供らをかっさらっていく。「機関車アパート」の操縦士は金村哲正、祖母を含めた町の子供らから「キンテツさん」と親しみを込めて呼ばれ、いつのまにか「キンテツさんは大きい船に乗ってなあ…」町からいなくなった男。「あんなエエ人のこと、うらむ人がありますかァ?」祖母は子供の頃のワイに向かってよくキンテツさんの話をして、何度も繰り返されるその物語に「あぁ、また始まったなあ」と思いながらも結局「それで?それで?」と当時のワイがわざとらしく、そして祖母がそう望んだように、続きをうながしてみせたのは、祖母がキンテツさんの話をする時はつねにワイが彼女の膝の上に頭をのっけているときで、耳かきしてくれる祖母のひざまくらが心地よく、ワイはいつまでもそこにいたいと思っていたからで、それはキンテツさんに「かっさらわれ」アパートに集められた少年少女たちが彼の操縦する機関車アパートの窓から自分たちの住む町のあかりを見下ろしながらいつまでも「このままでおりたいなあ…」と思った、という、その感情にとてもよく似ている。なあ、聞いてくれ。高円寺の女はまるで人間みたいによく笑う。俺はといえば手羽先を骨まで食っちまう男で、おまえは俺に、俺はおまえに、同じ台詞をよく言ったものだ。生きなさい。そして女は死んで、俺は詩を書き、全部破り捨てた。