はてなダイアリー平民新聞

創業2002年か2003年、平民金子の元祖はてなダイアリー日記です。

なんとなく思いだす日記

何かを失くしてわりかし困っていたハズなんだケドさて、そりゃナンだっけ…?と、しばらく考えてみるけれど、ぜんぜん思い出せない。でもま、夢の中のことだから別にいっかと思った。今日はいい天気になりそうだから洗濯でもしよっと、ト、立ち上がる。洗濯といえば大むかし、彼女ができて、その時初めてぼくは女の人というのはブラジャーをいちいち手洗いしてるのだ、という事実を知っておどろいた。あと、ブラジャーっていうのはあんがい硬いモンなんだなーとか。さっそく彼女のいない時に、タンスからブラジャーを出して、自分につけてみたんだケド、サイズが合わなくて断念した。とか、そんな話はどうでもよく、コインランドリーに行き、たまっていた洗濯物を放り込む。200円を投入口に入れるかわりに自分がその細長い穴の中に入り、くるくると回りながらいっそ、地球の裏側にでも行ってみたいものだ。なんてことを思うわけでもなく、思わないわけでもなく、ポケットからつかんだ硬貨を投入し、洗濯機のフタをしめ、近所の公園でホームレスのおっさんの横にすわり、たばこを吸う。おっさんはぼくに気をつかってくれたのか、AMラジオの音量をさげた。なんとなく、こんな日がいつまでも続けばいいのにと思うけれど、部屋の荷物を全部捨て、すべてをガラッと変えてしまいたいような気もする。引ッ越しを繰り返したところで何かが変わるわけでもないのに。と、そんなことをいろいろ考えてるあいだに30分はたっただろうか、コインランドリーに戻り、洗濯物をひきあげ、部屋に帰ると、畳に陽がさしている。なんとなく、得したような気分になり、この「得したような気分」というやつをもしもヤフーオークションにでも出品したら、いくらの値がつくだろうか、と、しめったシャツをハンガーにかけながら想像してみるけれど、ぜんぶ干しおわって一息ついたところで、そんなのは0円だな、という結論に達し、扇風機のボタンを押してそのまま寝転ぶと、風が気持ちいい。去年のたしか今頃「ある個人史の終焉」という日記を書いた人のことを少し思いだす。何回かメールのやりとりをしたというだけで、ぼくは彼のことよく知らないけれど、あれから一年ちかくたって、もし順調にいってれば、いまごろは家族が増えてるんじゃないか、なんて思う。もし、そうじゃなくっても別にいい。そーいや一度、酒でものみに行こうって約束したんだった。ぼくは約束するのがけっこう好きなのだ。別にかなわなくてもかなっても、どっちでもいいと思ってる。約束ってのはそれだけでひとつの結果だから、また今度ね、と言い交わすだけでその言葉がぼくらの淡い思い出になったりする。部屋にさしていた陽はかげり、あいかわらず扇風機の風は気持ちよくて、ぼくはそのうち眠ってしまうだろうな、と思いながら目を閉じると、暗闇の奥、奥のさらに奥、そこはなつかしい、死んだ祖母の家で、セミが鳴き、ばーさんはミシンを踏んでいて、部屋にはさっき食べたそーめんダシの残り香みたいなのがただよっていて、ぼくはなんとなくしあわせなきぶんになって、力をぬき、でっかい屁をこいた。その音で眠りからさめ、今みた夢も、きっとすぐに忘れてしまうんだろうな、と思いながら、「うんこ、はみでてないかな…」と心配になって、トイレにかけこもうと部屋の扉をあけると、目のまえには海が、でっかい海がどこまでも広がっていて、ぼくは、またね、またね、と言いながら、日差しを受けてひかる、波のひとつひとつに手をふっていた。