タイトルは、人様からお借りして最近よくきいている忌野清志郎のアルバムから。ぼくにこのアルバムをかしてくれた人は佐野元春のことがすごく好きなのだけど、ぼくもたまに佐野元春のことを考えることがある。八年くらい前、彼がデビュー20周年コンサートをやった時、四十歳をとうに過ぎていた佐野元春は一曲目に、自分が若かりし頃に作った「ガラスのジェネレーション」という曲をうたった。
ぼくが当時この曲をきいていた年齢と、佐野元春がこの曲を発表した年齢はたぶん同じで、どちらも二十四歳。ぼくは「つまらない大人にはなりたくない」という、この曲の中でも一番痛々しい有名なフレーズを、すっかりおっさんになった佐野元春はいったいどんな顔してうたうんだろう?なんてことを考えていた。少しハニかんで歌うんだろうか?あるいはこのフレーズ、なかったことにしたりして、とか。そんなぼくの思いをよそにステージの佐野元春は「つまらない大人にはなりたくない」と、真正面を向いて思い切り叫んだ。
ぼくはその時に「こりゃ、負けたナ」というか、もちろんハナっから勝負出来るようなレベルじゃないってのは当然わかってるんだけれどとにかく「こりゃ負けた」と思ったのだ。ロックミュージシャンというのは人を騙す職業で、だます、というのは言いかえれば夢を見させてくれる、ということでもある。自分が四十歳をすぎて例えば「ガラスのジェネレーション」をうたうような立場にあったとしたら「つまらない大人になっちゃいました。テヘ」とか言って薄くなった頭を自分でたたく、とかそういう事をやるんじゃないかと思うんだけど、佐野元春はそういうことをしない。
彼の何の曲か忘れたけど「世界が終わるその時まできどり続けるのも素敵だぜ」ていうフレーズがあるんだけど、8年前のあの時のライブの光景を思いうかべると、佐野元春はとことんきどり続けてきた人間で、ぼくはきどっている佐野元春をただ笑っているだけの人間だったような気がする。「つまらない大人にはなりたくない」なんていうフレーズ、笑ってしまうのはすごく簡単なんだけど、自分の積み重ねてきた年齢を引き受けた上で歌い続けるのは、ものすごくむずかしい。で、まあ、佐野元春というとどうしてもあの時の光景を思いだしてしまうんだけど、よくよく考えたら今日は忌野清志郎のことを書こうとしていたんだった。あ、写真と文章は何の関係もありません。また明日。

- アーティスト: 忌野清志郎,仲井戸麗市,三宅伸治,Steve Cropper
- 出版社/メーカー: ユニバーサルJ
- 発売日: 2006/10/04
- メディア: CD
- 購入: 1人 クリック: 46回
- この商品を含むブログ (82件) を見る





