いま某所で出稼ぎ労働していてしばらく部屋に帰っていない。で、なかなか更新する機会がないのだが、まあそれはそれで別にいいのではないかと思っているのだけど、カズオ・イシグロ「わたしを離さないで」を読んでいる。泊まっている部屋の電球が切れかけているので仕事が終わると車をかりて車内灯の下、本を開くのだが、オモシロクネーなーと思いながら読み進めていくと途中からなんともセツナイ展開になってきたので読むのをやめようかと思っている。セツネー話は苦手だ。いや、好きだ。エルンスト・ルビッチ「生きるべきか死ぬべきか」「街角」見る。「街角」は昔みた時たいそう感激したものだが久しぶりに見返すと普通だった。「生きるべきか死ぬべきか」は何度見ても素晴らしい。夫が舞台から帰ってくると部屋のベッドに妻の浮気相手が一人眠っているのだが諸々の事情が飲み込めない夫は男の顔面をなめるように見回した後、壁際にかくれ「トゥビー、オア、ノットトゥビー」とやるのだが、間男との邂逅を表現するルビッチの手法のなんと粋なことよ。本はあまり読み返す事はしないが映画は何度も見返す事がある。この映画がそうだし、あとはフェデリコ・フェリーニ「アマルコルド」とかジョン・フォード「周遊する蒸気船」とか。何度もみた。ほぼ毎日車に乗り、夜になると遠くの町のスーパー銭湯に出かけている。そろそろ煙草をやめようかと思っている。酒は最近飲んでいないが、ビールと焼酎は飲んでいる。
http://d.hatena.ne.jp/kantera/20070201
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上の二つのダイアリを読むと、どうやらぼくの書いているものは長生きするようだ。二人がそう言うのだから間違いないのだろう。しかし他人に向かって「おまえ長生きするよ」と言ってる人間というのが、案外しぶとく長生きするというのも世の常なのであるからして「青空崩壊」と題された存在はこの先しばらく崩壊しないのかもしれないし「目を閉じなさい」と題された存在の、目が閉じられることもまた、相当先延ばしにされるのかもしれない。そういえば昔、泊り込みで仕事をしていた時、晩飯の時間になるとぼくを含めた現場の人間はプレハブで作られた簡易宿泊所の、台所に列をなすのであるが、その日のメニューはカレーライスであった。一人一人好きなように盛りつけてもよい状況の中、皆器用に皿に御飯とカレーを盛りつけていくのであるが、ぼくはとにかく腹が減っていたので、ありったけの御飯とありったけのカレールゥを皿にぶっかけた。当然のように、皿からカレーがボトボトとこぼれ落ちた。ぼくはあわてて皿のふちを指でなぞりカレーをすくい上げその指をなめてはまたすくい上げ、を繰り返すのであるがそれでもカレーはボトボトとこぼれ落ちる。するとその姿を見ていた、ぼくの後で並んでいた小西さんが一言「金子君、お里が知れるぞ」と声をかけた。そこで、なるほど、ぼくのお里とは、腹が減った時には限度を考えずにカレーを盛り付けてしまいルーがボトボトこぼれて周りに迷惑をかけてしまうという、そのような所にあるわけか、と、妙に納得した記憶がある。
そんなこんなで、何が言いたいかというと、お里が知れる、というのはなかなか良い言葉だ。長く書き続けていると、ブログにも必ずそのような「お里が知れる」という局面が訪れる。お里が知れるとは、悪く言えば自分の限界、良く言えば自分の立脚点、に気付かされるという事であり、簡単に言えば「おれってしょうもないなぁ〜うへっ」となるという事である。自分に適度な演出を加え気取ってふるまってみせる事が短期的には可能である、という程度にはネットは甘い世界であるが、いつまでもそういったキャラクターをコントロールし続けられるほど、ネットは甘くはなく、いつか必ず「お里が知れる」。そしてその瞬間、一時的な気恥ずかしさとともに自分の存在を、ハンドルネームを瞬時に消滅させるマジックが可能である、というのがネットの、そしてブログの特性ではあるのだが、その消滅したくなる瞬間というのをなんとか踏みとどまって、「うへっ、やっちゃいました」と顔を赤くし頭をかきながら出なおしてみせる、というのも、なんだか悪くはないんじゃないかという気が、ぼくはしている。上のリンク先でkantera氏が書いていた「それぞれ二十代が終わればみんな消えていく運命にあると思う」というフレーズを読んでいて、その文脈とは関係なく、確かに二十代の、そして十代のブログってあるよなぁ、なんて思ったもので、ぼくはぼくなりに三十代のブログというものを定義付けしてみたかったのであるが、結局まとまりのない文章になった。まあ要するに三十代のブログとは、誰が見てるかわからないネット空間の中で自分の顔面を晒すことに何の抵抗もおぼえない程には恥知らずで節操のない人間が歯を磨かずに寝て翌日の朝目覚めて最初に発するくっさい口臭のようなものである。ブログは二十代でやめておいた方がいい。なぜならばライバルは少ない方がありがたいからである。


