はてなダイアリー平民新聞

創業2002年か2003年、平民金子の元祖はてなダイアリー日記です。

読まずに語る中上健次

■■マイ・バック・ペイジ■■■
最近おれは全くといっていいほど本を読んでいなくて(ちょっとは読んでるよ)、中上健次の小説なんかは、ここ数年ぜんぜん読んでなかった。ぜんぜんってのはまあ大ゲサにしても、ほとんど読んでなかった。たまに図書館でプラプラ読むくらい。だから、おれも中上健次の何か一つの作品に対し、具体的な感想文を書いてみたいとは思うんだけど、ちゃんと内容おぼえていないので、なかなか書けない。


そこで必然的におれが書くものは、自分が中上健次と出合った頃の思い出とか、まあよおするに作品そのものとゆうよりは、両の目を見開いて彼の作品にむさぼりついていたあの頃に、おれが抱いていた感情、その十代二十代の感情に、五年十年たち三十代になったおれが言葉を与える、そおいった作業になる。


その作業とゆうのは当然、年若いおれに対し先輩風をふかした三十歳のおれが「おまえ、まだまだ若いナ」なんて言うものではない。おれが投げかけるのは、ボブ・ディランの歌詞を借りて言うならば、「あの頃のおまえより、今のおれの方が、ずっと若い」そんな言葉だ。


声をかけられる年若いあなたと、声をかける現在のおれとの間に、根本的な差異はないのだけれど。

白か黒しかこの世には ないと思っていたよ
誰よりも早くいい席で いい景色がみたかったんだ
ぼくをすきだと言ってくれた 女たちもどっかへ消えた
ああ あの頃のぼくより 今のほうがずっと若いさ
(マイ・バック・ページ/ボブ・ディラン)*1

■■ところで■■■
同じ事を書き続けるとまた途中で飽きてしまうので、少し話を変える。高校生の頃、和歌山県白浜町にある南方熊楠記念館に行く機会があった。別に南方熊楠が好きであったとかそおゆうアレではなく、白浜には歓喜神社とゆうたくさんのチンコマンコをまつった素晴らしい場所があるのだが、そこへ参拝した、ついでである。


さて、熊楠記念館へ行ったおれは、そこで一つの衝撃を受けた。それは熊楠の波乱にとんだ人生にではなく、彼の残した膨大な量の筆写ノートにである。南方熊楠とゆう人は幼少から晩年に至るまで、とにかく読んだ本を徹底的に筆写しまくった、一言で説明すると、筆写キチガイである*2


で、流行に敏感肌なおれは、直感した。間違いなくこれからは筆写がブレイクするな。21世紀は筆写の時代で、筆写ブームだ。当時高校生のおれはもちろん童貞であるから、とにかく誰とでもよいので性交とゆうやつがしたかった。しかし、そのためにはモテねばなるまい。そこで、モテアイテムとしてのバンド活動、ではなく筆写活動をおれなりに行い、なんとかこの身で咀嚼しようと考えた。



(続く)

*1:歌詞は真心ブラザーズのカバーバージョンのやつね

*2:超人南方熊楠とゆうか妖怪南方熊楠にに関しては水木しげる御大が「猫楠」とゆう漫画で描いてるので、そちらを読んでいただきたい