はてなダイアリー平民新聞

創業2002年か2003年、平民金子の元祖はてなダイアリー日記です。

野枝さんのような天才が僕のような男と同棲して、その天分を充分に延ばすことの出来ないのははなはだケシカランというような世論がいつの間にか僕らの周囲に出来上がっていた。
その頃みんな人は成長したがっていた。「あの人はかなり成長した」とか、「私は成長するために沈潜する」とか妙な言葉が流行していた。
野枝さんはメキメキと成長してきた。
僕と別れるべき雰囲気が充分形造られていたのだ。そこへ大杉君が現われてきた。一代の風雲児が現われてきた。とてもたまったものではない。

(辻潤「ふもれすく」から引用。講談社文芸文庫『絶望の書/ですぺら』所収)