ラピュタ阿佐ヶ谷で8月28日から(モーニングショーであるが)「高峰三枝子特集」がある。
http://www.laputa-jp.com/laputa/main/index.html#2(←まだのってないけど一応)
その中に清水宏が監督した「按摩と女」という作品があって、9月の4日から10日まで上映されるわけだが、おれは緑川博士から脳手術を受けて以来、映画をみまくっていた頃の記憶をすっかりなくしてしまったので、この「按摩と女」もまた、ストーリーはすっかり忘れてしまったのだけれど、でもなぜかこの作品の冒頭シーンのみ、けっこう覚えていて、というか、そこで交わされる按摩二人の会話の内容、そしてテンポが少々風流だったので、当時メモをとっていた。そのメモはすっかり散逸したものと思っていたのだけれど、先日の東京地震で部屋が傾いた際、天井の隙間から出てきたので公開する。もちろん一線級の資料なのであるが、いうまでもなく何の役にも立たない。
按摩二人、トクさんとフクさんがどっかの温泉街へ行くために、山道をのぼっていくところから映画ははじまる*1。以下、メモから*2。
トクさん「ん、ちょっと待った」・・・(障害物)
ふくさん「トクさん、少しゆっくり歩こうよ。もうだいぶん疲れた」
トクさん「でも長旅は日のあるうちに着きたいからね」
ふくさん「日があろうがなかろうが目くらに関係ないじゃないか。どうせ年がら年中夜道ばかりだ」
トクさん「そりゃあそうだろうけど、さっき後から追いこしていったハイキングの学生たちに追いついて追いぬいてやりたいんだよ」
ふくさん「そりゃあ無理だよ」
トクさん「無理ってことはないさ。やつらも二本足、おれたちも二本足だ」
ふくさん「そりゃあ無理だよ」
トクさん「なぜよ?」
ふくさん「なぜったってそりゃあ無理だよ」
トクさん「どうしてよ?」
ふくさん「どうしてったってそりゃあ無理だよ」
トクさん「無理が通れば道理が引っこむ。おれは無理をとおすんだよ」
ふくさん「そんな事いったってぜったい無理だよ」
トクさん「勝手にしやがれ。おれは無理をとおすんだよ」・・・(石につまずく)
・・・・・・(馬車が追いぬく)←高峰三枝子を乗せている
ふくさん「いい女が乗ってたね」
トクさん「いい女?」
ふくさん「東京の女だね」
トクさん「東京の女?」
ふくさん「東京の女のにおいがしたよ」
場面かわる・・・馬車での会話シーン・・・
馭者「あの按摩はこの湯治場の名物なんですよ。前を歩いていく目あきを追いぬいては今日は何人ぬいた、何人ぬいたと言っては良い気持ちになっているんですよ。つばめのように今頃になると南の温泉場からやってきて寒くなるとまた南の温泉場へ帰っていくんですよ」
素晴らしい。しかし、こんなものをメモしておれはいったい何に活用しようとしていたのか、今となっては知るよしもないのだけれど、でも当時のおれは座頭市とか盲目物語とかブラインドウィリーマクテルとか、ちょっとした按摩ブームだったような気がする。
で、何がしたいの?と問われれば、まあ答えに困ってしまうわけだが、要するに、ああ「按摩と女」やってるなあ、ひさしぶりに見にいきたいなあ、と思った、というだけの話。そうカリカリしなさんな。ハハ。