便所に行くと、カナブンが浮かんでいた。
息をふきかけると足をバタバタとやりだしたのだ。

死体だと思ったからそのまま流してやろおとしたのに、まだ生きているとゆうことなら、ほっておく事は出来ないのだ。おれはムツゴロさんと同じで、人にはやさしくないけど動物にはけっこうやさしい(畑まさのりタイプ)。
さっそく救出するべく部屋へと引き返し、ワリバシを手にとった。

それがこの図であって、よく見れば(いや、別によく見なくても)カナブンではなく、ただのアブサンだった。でもアブと書いてもなんか別にうれしくもないので、やっぱりおれはカナブンを助けたのであって、おまえはアブではなくカナブンなのだと、アブにもそお言いきかせてみたれば、なんとなくこのアブもカナブンみたいに見えてくるから不思議だ。
・命名「つとむ」(カナブン)
ちょっとでもやさしくすると、とたんになれなれしい態度をみせてくるカナブンつとむは、少しづつワリバシを登り、おれの左手に上陸すると、羽を休めだした。羽を休めたとゆうか、しばらく便所につかっていたため、羽がぬれて飛べないのである。まあその辺はかわいそおなのであるが、でもここで大事なのは、やさしいとはいえ虫を触ることがどおにも不得手であるとゆうおれの性質なのであって、ツトムの事情よりもおれの事情を優先させるべきであると考えた結果、ワリバシを右手に持ちかえ、もお一度つとむをのっけて、窓枠のあたりにのっけておくことにした。ツトムが手に上陸したとたん、声にならない悲鳴をあげた、と、まあそこまでの事はなさけないので言わないけれど、とりあえず、精神の危機を感じたからである。
がんばれよ、つとむ。

と、一声かけて満足したおれは、部屋へと引き返し、ウイスキーを飲みながら、ああそおゆえばおれは便所に行ったのにお小水せずに帰ってきてしまったとゆう事を思い出したので、立ち上がろうとしたけれど、おれと入れ替わりに向かいの嵐山光三郎*1が便所に入ったばかりであって、こいつのうんこは限りなく長いのだ(時間的に、とゆう意味だが、実際の、モノとしてのうんこもきっと長いにきまってる)。
結局三十分くらいしてから再び便所に行ったのだけど、その時にはもおつとむの姿はなかった。
希望的観測を述べれば羽が乾いてどっかへ飛んでいったのだとゆう事になるが、怪傑嵐山光三郎に食われてしまったとゆう線も、けっこおな確率で考えられる。