死刑判決
「何故自分は死ななければならないんだ。自分はソ連政府に対しては何らの罪も犯 していないのに。理解に苦しむような事が社会主義国家内で起こっている。これが 裁判というものか、証拠もなければ証人もいない全くのデッチ上げで人を死刑にす るとは、これは人殺しではないか」 「しかし死がここ数時間のうちに迫っているのが避ける事が出来ない現実だとすれ ば、日本人の恥になるような死に方はしまい。日本人は昔から死を桜の花の散るの に例えていた。今は日本では桜の花が咲き始める頃だろう。ようし、私も日本人ら しく立派に死んで行こう」 死を目前にして、私の心は段々と澄んだものになっていった。 「長い旅の記録〜わがラーゲリの20年」寺島儀蔵(中公文庫・p14〜)