ぷっちょボール

 うれしかった時とか大切だと思った人間に対して、自分が持っている何かを分け与える事で親愛の気持ちを示す、というのは大人だとそれほど珍しくもなくて、多くの人がやっているコミュニケーションだと思うけれど、そういう人生のどこかで身についた社会性というか、平たく言うと愛情表現を、うちの子供も見せる時があって、もっと幼い頃は何でも我のもの、独占だったのが、仲良くなった子供とか、時には私や妻に対して、優しく笑って、自分の持っているアメやグミをひとつ、手渡してくれたりする。自分にとってとっておきの大事なものを、あなたにあげましょう。生まれて数年の子供がそういう感じで不器用に示す愛情表現というのは崇高な感じがして、たまに何かをわけてもらったりした時はとてもうれしい。そして、たとえ見ず知らずの子供であっても、子供がそういうやり方で親愛を示そうとしてきたら、個人的には必ずそれにこたえたいという気持ちがあるので、子供が何かを私にくれようとした時などは、絶対にもらうようにしている。というような事を考えて日々を過ごしているのだけれど、今日、子供がUHA味覚糖ぷっちょボール(駄菓子)をそれは大事に大事に持っていて、私などがそれを「いっこちょうだい」とか言おうものなら、「駄目。これはお薬だから」などと一蹴されるような感じだった。そのぷっちょボールを、公園でいっしょに遊んでいた同年代の子供がいたんだけど、かなりの時間遊んでちょっと間があいた時に、「ちょっと待ってね」と走って行って自転車のカゴに入れていたぷっちょボールの袋を取りに行って、そこからひとつアメ(ぷっちょボール)を取り出して、そのずっと遊んでいた子に、はにかみながら一粒差し出したんだ。初めて会う子に対し、ずっと遊んでいてよほど気にいったのか、そういう愛情表現をする。めっちゃ貴重な瞬間を見たな、というような気持ちもあったし、きみも成長してるんやなあみたいな気持ちもあったし、ほほえましいと簡単に表現してしまうにはもうちょっと大きな感情、見ず知らずの子供に自分が大切にしている、私が何度「ちょうだい」と言ってもくれなかったぷっちょボールをひとつ、あげようとしている、これは重大事件やがな、なんかちょっと感動してしまうな、みたいな気持ちでその場面をちょっと遠くから見ていたら、そしたら普通に相手の子から「いらない」とシカトされていて、せつなかった。

味覚糖 ぷっちょボール カラフルアソート 60g×6袋

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